鞍月舎
昭和40年代の、店舗付き木造賃貸アパートのリノベーション。
この計画は、家賃1万円でも入居者が入らなくなってしまった、木賃アパートオーナーからの一本の電話で始まった。
取引中の不動産業者からは新築アパート建て替えを進められていたが、この建物にひとかたならぬ思い入れのあるオーナーは、リノベーションを希望していた。
そこで僕たちは、まず新築とリノベーション2つの事業計画を提案した。しかし同時に、ある程度のリスクを算入しても、リノベーションを選択した方が圧倒的にオーナーのメリットは高いことは明らかだった。そしてリノベーション案が採用された。
市内中心部を流れる用水沿いに建つこの建物の構造体は、近隣の木造小学校の廃材を利用しているなど、物語性もあった。そこで、用水から名前を借りて「鞍月舎」と命名。利用者のターゲットを女性に設定して1階のコアテナントや2階SOHO対応のアパートを企画・デザインした。
そこからは、オーナーと共に銀行融資の獲得を目指して奔走、施工業者の協力も得た。解体調査では予想以上の躯体の老朽化など、越えなくてはならないハードルも多い案件ではあった。それでも、金沢のまちなみの大半を占める一見平凡な木造建築、その再利用の新しいあり方を提示できたのではないかと思っている。
そして竣工後も、イベントの企画や鞍月舎ホームページの立ち上げなど、この鞍月舎に入居・利用する人たちを緩やかに繋げていく為の仕組みもデザインさせてもらっている。
(担当:小津)
【鞍月舎関連コラム】
「茨木町アパートリノベーション進行中」
http://www.realkanazawaestate.jp/column/topics/ibaragicho_project/01/index.html
「リノベーションアパート”鞍月舎”のその後」
http://www.realkanazawaestate.jp/blog/?p=770
鞍月舎ホームページ
https://enn.co.jp/kuratsukisha/