TANNAKA68 bldg.

正面ファサード。当時のタイルはそのままに

半世紀の歴史を紡ぐ再生計画

金沢市長町の武家屋敷跡、その中心を流れる大野庄用水沿いにあるこの建物は、元診療所として長年地元住民に親しまれてきました。

今回の計画は、その思い入れあるビルを再生・活用できないかという、物件オーナーからの相談で始まりました。

企画案として様々な方向性を検討・模索しましたが、町の条例や地域特性、収支計画を鑑み、複合テナントビルとして計画を進める事となりました。

初めに建物の状況調査です。

近年まで使われていたとはいえ築50年、様々な箇所に歴史が顔を覗かせます。まずは内部解体を行い、改修が必要な箇所を確認しながら、次に法令の適合性調査に入ります。

建物の増改築の履歴や関係法令の洗い出しなど、今この建物がどういう状況にあって、活用時には何が求められるのかなどの調査を踏まえ、各行政機関や町民の方と協議を重ねます。(この辺りが一番大変だったりします)

改修設計にあたっては、コンクリート躯体あらわしのスケルトン化を中心に、できるだけ最低限手を加えるのみとしました。「築50年の元医院兼住居のRCビル」というすでにある空間から、こちらで行うのは「新しい用途を受け入れる器としての再設定」です。

企画・仲介は弊社不動産部「金沢R不動産」にて行いました。

リノベーション計画は、様々な問題が複合的に絡んでいる事が得てして多いですが、不動産(企画・仲介)×建築計画を社内で同時並行的に行えるE.N.N.だからこそ可能な案件だったと思います。

今回の再活用に際して物件オーナーは、当時診療所に勤めていた病院関係者や地域の方々からたくさんのご連絡があったそうです。

そうした地域の方々の想いや建物の文脈を、入居テナントさんをはじめ、私たちが次代へと繋いでいけると、中古ビルの活用事例が金沢でもさらに増えていくのではないでしょうか。

 

1階カフェ。家具はテナントオーナーさんのセレクト。1F・2Fのテナント内装設計は「taki atelier」

2階アパレル。白を基調としたスケルトン空間に商品が映えます

ビル自体のエントランス。元々の質感を残す設えとなっています

細部にも店主のこだわりが

2Fの事務所予定の区画

市内を一望できる屋上

(担当:曽我 崇大)

用途  :飲食店、物販店、事務所(テナントビル)
所在地 :石川県金沢市長町
構造規模:鉄筋コンクリート造3階建て
延床面積:352.16㎡(施工部分)
工事種別:リノベーション
完成時期:2019年10月(飲食・物販店)
業務内容:事業企画・設計・監理・不動産仲介
     ※1F・2Fのテナント内装設計は「taki atelier」 

2019.11.06

# WORKS