石引のマンション
庭へのシークエンスをデザイン
中古分譲専用庭付きのマンションのリノベーション、
オーナーご家族は東京在住、お母様が頻繁に金沢に来られていることもあり、今回別荘としてマンションを購入し、リノベーションするに至りました。
ご購入されたお部屋の一番の特徴は広い専用庭に面していることです。
庭仕事が好きなお母様からは、庭を眺めながらキッチンに立ちたいというご要望をいただいていました。
第二の特徴としてはこのお部屋の区画が細長く、細長い長手方向に沿って庭も面していることです。
庭を眺めながらキッチンに立ちたいというご要望に、より付加価値をつけて実現させるべく、どのように庭へ意識を向け、お部屋にいながら庭を近く感じさせるデザインとは何かを考えていきました。
そこで我々が考えたリノベーションの方法は、
庭に沿って、木製の壁面を配置して、その木製壁の面を庭と接する境界面として重点的にデザインすることでした。
その木製壁の面に沿うように、デスク、ベンチ、飾り棚やキッチン、ダイニングテーブルなどを配置していきました。
木製壁以外は、無機質で抽象的な白い壁として、大きく手は加えない。
木製壁と白い壁を分類することで、意識は木製壁へと向かい、ここを使うお母様が自然と庭と対峙していくことを考えました。
庭は、庭仕事が好きなお母様が、東京から足繁く通って造園師さんとともに計画されています。「ここのお庭に緑が青々と茂った時、キッチンからの眺めがきっと癒しなる」とお話しされていたお母様。
自身の夢を実現されましたが、実は影の立役者が息子さん。このマンションを選んだのも、リノベーションを取り仕切ったのも息子さんでした。お母様の好みと要望をここまで汲み取り我々に的確にご伝言いただく能力に学ぶべき事が多かったです。またペンダントライトは、理化学用ガラスを取り扱うオーナーご家族の会社の商品です。主張しすぎず空間にもとても馴染んでいます。
東京と金沢の2拠点居住、自然に触れることができるこのマンションで素敵な時間を過ごしていただきたいです。
(担当:田代 彩子)
用途 :専用住宅(共同住宅内における)
所在地 :石川県金沢市
構造規模:RC造
占有面積:93㎡
工事種別:リノベーション
完成時期:2022年2月
業務内容:設計・監理
(photo: Takashi Mukai)
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