加賀麩不室屋 二子玉川東急店

 

老舗店の挑戦に触発されて

クライアントである「加賀麩不室屋」は慶応元年(1865年)に金沢・尾張町にて創業された150年余続くお麩の老舗メーカーです。

ひとくちに麩といっても、伝統的な煮物やおでんに欠かせない車麩からお吸い物に入れる小さな彩り麩、ふやきの皮を割ってお湯をそそぐと具のお麩と乾物が膨らんでお澄ましや味噌汁になるもの、ラスクのようにそのまま頬張れるものなど種類は様々ですが、どれも金沢に住まわれる方なら一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。

そんな金沢の食文化を担うクライアントからの依頼は、東京・二子玉川にある「東急フードショー」内の新規店舗の設計でした。今回は2014年の「JR名古屋髙島屋店」に引き続いての2度目の依頼とあり、基本となるデザインイメージの共有ができているところからのスタートでしたが、ご進物用の商品中心の既存店とは異なる商品展開に挑戦したいとのことからマーケット分析にはじまり商品の構成、見せ方、売り方等まで詰めていきました。

なかでも今回は特に「彩り麩」を推すべく、パッケージリニューアルに加えスーパーマーケットのようなフックでの陳列方法を採りたいとのご要望をいただきました。セルフ販売というカジュアルな販売方式でありながらも、非日常が味わえるワクワク感をどうお店として演出するか、シミュレーションと打ち合わせを重ねながら作り上げていきました。

メイン通路の正面にみえるのは色とりどりのお麩が並ぶ棚

店舗全体としては「工芸」や「手仕事」に着想を得た「工芸的な食」をテーマに据えながら、什器や壁面の形状・素材・色彩と要素を分け、老舗らしさと斬新さ、和と洋、使い勝手と面白み、かっこいいとかわいいといった両極のツマミを一つ一つ上げ下げするように進めました。その甲斐あって実験的ながらも商品のそれぞれにしっかり居場所がある、凝縮した密度ある空間になったと思います。

存在感のある真鍮切り文字のサイン

従来の売場を踏襲した対面販売コーナー

手にとりながら買い物を楽しむセルフ販売コーナー

 

オープンして間もなく用あって店舗に立ち寄った際に、二子玉川のおそらく近所にお住まいであろう女性がベビーカーを押しながら商品を手に取られる姿を見て、届けたい人にしっかり商品が届いていることがとても喜ばしかったです。

(担当:関 緑)

 

プロジェクト名:不室屋二子玉川東急店

用途:物販店

所在地:東京都 二子玉川 東急フードショー

規模:10.6㎡

完成時期:2018年4月

業務内容:設計および設計監理

撮影:コピスト 吉村昌也

加賀麩不室屋HP:http://www.fumuroya.co.jp

2018.06.26

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