かなえきのちくわ

10坪に込めるオペレーションデザイン

「かなえきのちくわ」は金沢駅内商業施設、金沢百番街あんと西のリニューアルに伴っての新規出店で、当エリアのほぼ中央に位置しています。

 施主は金沢市内にておでん屋を営んでおり、開業当初からE.N.N.と深く繋がりのある方で、2店舗目である本計画の出店もお手伝いいただきたい、と言う事でお声掛けいただいたプロジェクトです。 

 施設側からの要望は主に2つ、「開放性の高いオープンキッチンとすること」と「厨房廻りにはカウンター席を設けること」でした。そこに「駅ナカという立地」「想定される客層」「10坪の島区画」というステータスを考慮していくと大体の店づくりの骨格は浮かび上がっていました。

 計画にあたっては一にも二にも従業員のオペレーションの簡素化を優先しました。

これはどの飲食店でも言える共通項ではあるのですが、本計画では特に重要視される部分だったので、スタッフの人数とそれぞれの担当する作業、そこから想定される動線を考慮し、厨房内のレイアウトを組み立てました。また、オープンキッチンは厨房のレイアウトがそのままカウンター(客席)の形態にも反映されていくので計画の初期段階から施主、厨房設備業者との三者間でのやりとりを綿密に行う事で、客席と厨房間の空間の齟齬を出来るだけ削ぎ落としていきました。

 施主からのデザイン要望は「既存のおでん屋のイメージは踏襲しつつも、清潔感が感じられ、クールだけど居心地よく感じられる空間」というものでした。

 カタすぎず、でもラフというわけでもない、かつ大衆酒場を模したような商業デザイン然としない絶妙なバランスを保ったお店とするため、使用する材料とその使い方の組み合わせには特に留意しており、カウンターの天板は栗材を無垢の一枚板ではなく幅広の無垢フローリング材を採用する事で重厚感を保ちつつカジュアルさを表現し、付台は銅板で三方を囲う事でソリッド感と温かみを同時に感じられるようなディテールとしています。

ちくわという店名には「和を築く」という意味が込められているそうです。
おでんとお酒をみんなで囲んで楽しい時間を共有したい、という思いからこの店づくりは始まりました。オープンキッチンならではのライブ感と店舗スタッフのホスピタリティ、そしておでんをはじめとした美味しい料理。これらが渾然一体となって感じられる空間づくりに携わる事ができ、嬉しく思います。

カウンター越しにおでんを囲む事ができるこちら側の席は、厨房内の動きをよく鑑賞する事ができます。

三方が共用通路に囲われているので開放感があり、気軽に立ち寄る事ができる雰囲気です。

厨房内 回遊性のあるレイアウトで最短動線でのサービスを目指しました。

温かみと「らしさ」を感じるメニューボードはスタッフの構成・手書きによるもの。

カウンターの天板と付台には和食との親和性の観点からも栗、銅を採用しています。カウンター廻りの寸法はオペレーションと全体のプロポーションとのバランスを考慮しながら、10mm単位での調整を何度も行いました。

計画当初は立ち飲みスペースとして計画していましたが新型コロナ禍の時流により、テイクアウト用のカウンターに変更。空間や設備のクリアランスをあえて計画しておくことで実際に店舗を運営しながら変えていくことが出来る「余白」を残しておく事も大切にしました。

(担当:曽我崇大)

用途   :飲食店
所在地  :石川県金沢市木ノ新保町1番1号 金沢百番街 百番キッチン1F内
規模   :軽量鉄骨造 地上8階地下0階
延床面積 :区画内面積33.46㎡ (建物全体37390.72㎡)
完成時期 :2020年6月
業務内容 :設計、設計監理

 

2020.06.25

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